彼女のティキ、僕のアルファロメオ
そのビルは、横浜海岸通りから一本裏へ入った路地に、時が止まったかのようにたたずんでいる。
築90余年。スクラッチタイルの外壁は潮風に焼かれ、所々が燻した銀のような光沢を帯びている。かつて異国の寄留者たちがその重厚な玄関をくぐり、マントルピースの灯を囲んだ時代から、この建物が湛えている沈黙の本質は変わっていない。
二階の、天井の低い一室。
僕はデスクライトの淡いオレンジ色の光の下で、古い中東の織物の真贋を鑑定していた。窓の外は、横浜特有の湿った雨が降り始めている。
磨り硝子の窓を叩く雨音と、遠くで鳴るガントリークレーンの軋み。
古風で贅沢な孤独がここにはある。
作業を止め、何気なく窓から眼下の通りを見下ろす。
そこには、モノクロームの街並みに鮮やかな赤い一筋の色彩があった。
アルファロメオ1750GTV。
雨に濡れたその流麗なボディラインは、実利と効率を優先する現代の路上で、明らかに異質な、しかし抗いがたい情緒を放っていた。
運転席から、日に焼けた一人の女性が降りてくる。
彼女は雨を気にする様子もなく、ビルの重いアイアンのドアへと吸い込まれていった。
数分後、部屋の入り口で、アナログな質感のチャイムが短く鳴った。
ドアを開けると、そこには潮の香りを纏った彼女が立っていた。
室内に招き入れると、彼女は持参したバックから小さな四体の木彫りの彫像を取り出した。
「これがどういうものかわかるかしら。バリ島かオーストラリア先住民のものかと思うんだけど」
彼女の問いかけが、落ち付いた部屋の静寂を少しだけざわつかせたように感じた。
それが、僕と彼女、そして遠くノースショアへと続く旅の、最初の一歩だった。
彼女がデスクに並べたのは、手のひらに収まるほどの、しかし奇妙な威圧感を放つ四体の彫像だった。
僕は丁寧に、その造形をなぞる。
「……ティキ(Tiki)だね。ポリネシア全域に伝わる彫像だが、この四体一組の構成は、明らかにハワイの様式だ」
四半世紀以上、この山下町で得体の知れない品々を鑑定してきた僕の目は、この彫像の素姓を瞬時に見抜いた。
彼女は、僕がこの仕事に就いたばかりの頃に生まれていたかどうか、といった年格好だった。
日に焼けた肌と、迷いのない瞳。
それは、僕がどこかに置き忘れてきた、あるいはかつては持っていたかもしれない種類の熱量を帯びていた。
僕は、頭の中にある目録を一枚ずつめくるように、それぞれの名と意味を彼女に説いて聞かせた。

戦いと怒りの相を持つ『クー』。
柔和な微笑みを浮かべ、豊穣を司る『ロノ』。
生命と太陽の源である『カネ』。
そして、底知れぬ深淵を抱えた海の神『カナロア』。
僕は、僕の見立てを証明するために棚から「ポリネシアの伝承図鑑」を取り出し、彼女に見せた。
しかし、これらの彫像は骨董的価値があるものではなく、手工業による土産物だろう。
そのことを彼女に伝えると、落胆する事もなく、ハワイの様式であることに興味を示した。
「なぜ、これをあなたが持っている?」
僕の問いに、彼女は少しだけ目を伏せた。
雨に濡れた窓の外を見下ろせば、そこには彼女の赤いアルファロメオが沈黙して佇んでいる。
彼女の視線が、その愛車のシルエットに重なった。
「二年前のことです」
彼女は、自分自身に言い聞かせるような静かな声で語り始めた。
横浜の古いビルの一室から、潮騒の轟く外房の砂浜へと、時間が一気に引き戻されていった。
「そもそも、あの車に乗るためだけに、私は体を鍛え始めたんです。『非力な女性には運転できない車だ』と言われたのが、どうしても許せなくて。
……やっと手に入れた古いアルファロメオと台風一過の千葉へ出かけたのは、そんな意地を形にした直後のことでした」

彼女の語る世界の中で、空は抜けるような青に変わり、目の前にはプロか上級者以外を拒絶するような、暴力的なまでに高い外房の波が立ち上がっていた。
彼女は駐車場から少しだけ砂浜に入ったところに腰を下ろし、ただ独り、その波と格闘するサーファーたちの姿を眺めていたという。
「すこし体が冷えたわ」
そう呟いて、彼女はアルファロメオのエンジンを目覚めさせた。
鍛えた脚で重いクラッチを床まで踏み込み、ギアをローへ。アクセルペダルを慎重に煽りながら、クラッチをつなぐ。少し急いてしまい、過剰なトルクを得た後輪が空転した。車体は前へ進まない。乾いた砂を噛んだタイヤが、空しく空転を繰り返しているだけだった。
何度か同じ操作を繰り返したが、事態は好転しなかった。
不意に窓の外を見ると、海から上がってきたばかりの一人のサーファーが立っていた。彼は滴る雫もそのままに、困り果てた彼女の様子をニヤニヤと楽しそうに眺めている。
(あなたの手なんて、絶対に借りないんだから)
彼女は意地になり、もう一度クラッチを繋ぎ直した。しかし、空転音が響くだけだった。
彼は無造作に車の後ろへ回ると、顎で「クラッチを繋げ」と合図を送ってきた。彼の圧力に押されるようにして彼女がクラッチを離すと、背後から確かな力が加わり、車体はふわりとスタックから抜け出した。
悔しさがこみ上げたが、礼を言わないわけにはいかない。彼女は手回し式のハンドルを回して、窓を開けた。
だが、礼の言葉を口にするより早く、彼が声を上げた。
「いい車だが、君にはまだまだ乗りこなせないようだな」
屈託のない、しかし確信に満ちた笑みだった。
彼女は、彼に「借り」を残したまま立ち去ることが、どうしても許せなかった。
「……良かったら、お礼にランチでもごちそうさせてくれない?」
それが、彼女なりの精一杯の反撃だった。
彼は、普段は世界中の海を転々としながら波を追いかけているという。台風シーズンの二ヶ月間だけ、この日本に戻ってくる。今日はその初日だった。
「滞在先のアパートに食材は買い込んであるんだ」
という彼の言葉に従い、彼女は赤いアルファロメオを彼のアパートへと走らせた。
これが、彼との出会いだった。
彼の部屋には調度品など何もなく、簡易ベッドと小さなテーブルが置かれている
だけだった。
唯一、生活の匂いを拒絶するようなその部屋で異彩を放っていたのが、ベッドの脇に並んだ四体の彫像だった。
「これを持っていると、海が味方してくれるという言い伝えがあるんだ」
コーヒーを淹れる彼の背中越しに聞いたその言葉は、冗談のようでもあり、敬虔な祈りのようにも聞こえた。
それから二ヶ月。
週末のたびに私はアルファロメオを走らせ、彼のいる海へ通った。
私たちは多くを語り合ったわけではない。ただ、台風が運んでくる湿った風の匂いを嗅ぎ、エンジンの爆ぜる音を聴き、沈みゆく夕陽が海を紫に染め上げるのを隣で眺めていた。それだけで、私の二十数年の人生が書き換えられてしまうような、濃密な季節だった。
冬の気配が混じり始めたある週末。彼のアパートを訪れると、そこはすでに「がらんどう」に戻っていた。
テーブルの上に残されていたのは、あの四体の彫像と、短く殴り書きされた手紙だけ。
『僕はまた波を探す旅に出ることにする。
アルファロメオを乗りこなせる君なら、波もきっと乗りこなせるはずだ。
そんな君ともう一度出会いたい』
それが彼からの、身勝手で、この上なく残酷な置き土産だった。
それから二年間、私は取り憑かれたように海へ通った。
アルファロメオの助手席を倒し、サーフボードをなんとか車内に積むことができた。
ステアリングを握るのと同じだけの力を込めてパドルをし、湘南や千葉のミ
ドルサイズの波なら、ようやく自分の意志で捕まえられるようになった。
今の私なら、あの日の彼に「乗りこなせている」と言えるはず。その確信だけが、私を突き動かしていた。
そして、この彫像が呼んでいる場所へ行けば、彼に会える。
根拠のない、けれど揺るぎない予感。
「――それで、これがどういうものか、確かめにきたんです」
彼女は語り終えると、ふっと視線をデスクの上のティキと呼ばれる彫像に戻した。
山下町の古いビルの一室に、再び重苦しい沈黙が降りてくる。
彼女の瞳の奥には、二年前の千葉の海ではなく、もっと遠く、激しく波打つ異国の海が映っているようだった。
偶然にも、その翌週に僕はハワイへの買い付けを控えていた。
ポリネシアの古い民芸品を扱うコレクターを回る予定だと話すと、彼女は迷いのない瞳で、同行したいと言い出した。
「無謀なのはわかっています。でも、一目だけでも、彼が愛した海を見てみたいんです。……そして、もし許されるなら、その波を滑ってみたい」
一週間の予定で、僕たちはホノルルへ飛んだ。
現地での彼女は、僕の買い付けの仕事に黙って付き添いながら、その合間に執念深く彼の手がかりを探していた。
ノースショア・ハレイワの片隅にある古びたマーケットプレイスで、彼女の持つものと全く同じ様式のティキが並んでいるのを見つけたのが、唯一の収穫だった。
店の主人は
「この彫りはノースの古い一族のものだ」
と教えてくれたが、それ以上のことはわからなかった。

僕たちは幾度かノースの海岸に立った。だが、冬のノースショアが放つ威圧感は圧倒的だった。
立ちはだかる巨大な水の壁、腹の底に響く崩壊音。二年間鍛え続けてきたという彼女でさえ、その海が発する「拒絶」のサインを前に、ボードを抱えたまま立ち尽くすしかなかった。
いよいよ翌々日には帰国がせまっていた。
僕はホテルそばのABCストアにふらりと立ち寄った。
ちょっとした夜食を買い、店を出ると、地元の少年が屈託のない表情で近づいてきた。
「Eh, howzit?」(やぁ、元気?)
「Good、you?」
と軽い挨拶を交わした。
少年は、普段はノースにいるが時々こうしてtownに来ているんだと世間話をはじめた。
会話をしながらも少年は、僕を一般観光客なのか探るような眼差しを向けていた。
一転、周囲を気にしながら真剣な表情になったかと思うと、声を潜めて
「はっぱ、はっぱ」
といった。
「今はいい。必要ないよ」
僕が穏やかに断ると、彼はしつこく食い下がることはしなかった。ただ、商機を逃すまいとする必死さがあった。
「わかった。じゃあ、後でホテルに届けてやるよ。ホテルとルームナンバーを教えろよ」
乗り気でなかった僕は話を遮るように、ノースショアのどこかのポイントに冬の間だけ滞在するような日本人のサーファーは居ないか尋ねてみた。
少年は、その日本人なら知ってるかもしれないと答えた。だが、そこで口を閉ざした。
大人の顔色を窺いながら生きる少年特有の、狡猾さと怯えが混ざり合っていた。そしてすでに、ディールということを知っているようだ。
僕はそのディールに乗ってみることにした。滞在しているホテルの名前と部屋番号を教えた。
少年はそれを呪文のように呟くと、再び太陽のような無邪気な笑顔に戻り、と駆け去っていった。
その夜、ホテルのドアを叩く音がした。
ノックの音は小さく、どこか切羽詰まったようなリズムだった。
ドアを開けると、そこには昼間の少年が立っていた。
彼は周囲の気配を激しく気にしながら、抱えていた小さな紙袋を差し出してきた。
「100ドル」
短く、掠れた声で彼は言った。
少年の様子を見れば、事の次第は容易に想像がついた。これは大人たちが管理している「商品」を、彼が個人的な金を得るために、独断で持ち出してきたものだろう。
僕は、日本人サーファーがどこのポイントにいるのかを尋ねた。
少年は、ノースのサーフポイントの名前を一つ告げた。
そして「彼はノースの古い一族と仲がいい変わった日本人だ」と付け加えた。
僕は何も言わず、財布から150ドルを取り出して彼の手に握らせた。
少年は一瞬、目を見開いたが、すぐに子供本来の無邪気な笑顔を見せると、夜の廊下へと静かに消えていった。
僕は部屋に戻り、紙袋の中身を一度も見ることなく、すべてトイレに流した。
帰国を翌日に控えた最後の日。
予報では、この時期にしては奇跡的に波が落ち着くと報じていた。
「今日なら、私にも入れるかもしれない」
彼女のその言葉には、希望よりも、何かを確かめようとする決意が混じっていた。
僕はレンタカーの助手席に彼女を乗せ、少年が話したノースのサーフポイントへ向かった。
普段は遥か沖合で牙を剥くリーフブレイクも、その日は手前のビーチブレイクへと鳴りを潜めていた。
それでも、砂浜に打ち寄せるスープの白さは、湘南のそれとは比較にならないほど分厚い。
海に入っている人間は数えるほどしかいない。
彼女は砂浜にボードを置くと、儀式のように丁寧にワックスをかけ始めた。
ウェットスーツ越しに見える彼女の肩の筋肉は、二年前、アルファロメオの重いステアリングを回すことさえ覚束なかった女性のそれではない。
僕は砂浜に腰を下ろし、一人の買い付け屋として、そしてこの静かな無謀な挑戦を見届ける証人として、彼女が海へと入っていく背中を見守ることにした。
彼女は分厚いスープの塊に必死に抗いながら、沖へと向かってパドルを続けていた。
浜辺にたむろするローカルの若者たちは、時折指を差し、隠そうともせずに嘲笑の声を上げていた。彼らにとって、今の彼女は「場違いな場所へ迷い込んだ見世物」に過ぎないのだ。
その時、水平線の彼方からひときわ巨大なうねりの塊――セットが押し寄せてきた。
彼女は、それが今の自分には過ぎた波であることを本能的に理解していただろう。それでも、彼女は逃げなかった。ピークから渾身の力を込めてパドルを開始する。波を捕まえた、かに見えた。
だが、ノースの波は甘くなかった。
切り立った斜面から突き落とされるように、彼女の身体は宙に舞った。パーリングだ。彼女の細い身体とサーフボードが、重量を伴って落ちてくる分厚いリップに一瞬で押しつぶされた。
しばらくの間、海面には何も現れなかった。二つに折れたサーフボードだけが、濁ったスープの波に乗って岸へと滑ってきた。
続いて彼女が顔を出したが、その動きにはもはや生気がない。分厚いスープが次から次へと彼女を押し流し、折れたボードの半分を掴む力も残っていないようだった。強いカレント(潮流)に引きずり込まれ、パニックを起こした彼女の身体が再び水面下に消える。
僕は砂を蹴って波打ち際へ向かった。だが、それより早く、さっきまで嘲笑していたローカルたちがボードを手に海へ飛び込んだ。彼らの救助は、熟練した動作で、驚くほど迅速だった。
砂浜に引き揚げられた彼女は、膝をつき、肩で激しく息を乱していた。
ローカルたちは、容赦のない言葉を彼女に浴びせた。
「ここ
をどこだと思ってるんだ。お前のような技量で入る場所じゃない」
「パドルもろくにできないくせに。ボードだって、ノースの波には薄すぎる」
「結局、俺たちの神聖な波を汚し、迷惑をかけただけだ」
その言葉の一つひとつが、鋭いナイフのように彼女の自尊心を削り取っていく。
彼女は濡れた砂の上にうずくまり、震える拳を握りしめたまま、必死に涙をこらえていた。二年間、あの重いアルファロメオを乗りこなし、独りで海に通い詰めたという自負が、ノースの波とそれを守る者たちの前で、粉々に打ち砕かれていた。
反論などできるはずもなかった。
僕は、彼女をなじり続けるローカルたちに頭を下げ謝罪し、この場を収めるために、重い足取りで彼女のもとへと歩き出した。
その時、ローカルたちの後方で静かに成り行きを見守っていた一人の男が、ゆっくりと歩み出た。
彼の姿が視界に入った瞬間、彼女の震える肩から力が抜け、こらえていた涙が溢れて頬を伝っていく。
彼が短く一言、何事かを告げると、あれほど執拗に彼女をなじっていた若者たちが引き返していった。
砂浜には、彼と彼女だけが取り残された。
彼女は激しく肩を上下させ、泣きじゃくりながら、時折強い口調で彼に何かを訴えかけていた。二年間の孤独か、それとも自分を置き去りにしたことへの怒りか。だが、彼は何も答えず、ただ力強く彼女を抱きしめた。冷たい潮水に体温を奪われた彼女を、その腕の中に閉じ込めるように。
彼女が顔を上げて僕の方を見た。
その瞳には、一瞬僕への感謝の光が宿ったように見えた。
彼女は濡れた右手を少しだけ上げ、遠くからこちらを制するように掌を見せた。それから、顎でわずかに出入り口の方を指
し、小さく手を振った。
「私はもう大丈夫。悪いけど、一人で帰って」
言葉は届かなかったが、そのジェスチャーは明確だった。
僕はすべてを理解した。
彼女は今、二年前のあの海辺のアパートで途切れた時間の続きを、自分の力で掴み取ったのだ。
そして、彼こそが彼女にとってプライスレスなティキなのだと鑑定した。
僕が引き受けていた「目利き」としての役割は、ここで終わりだ。
僕は一度だけ短く頷くと、彼女に背を向けた。背後で鳴り響くノースショアの轟音を残し、僕は独りで乾いた砂を踏みしめて歩き出した。
その日の晩、ワイキキのホテルの部屋で独り、帰国の準備を進めた。
明日、ホノルル空港のチェックインカウンターに、彼女は現れるのだろうか。
もし来なければ、僕は予定通り、一人で日本へ帰ればいい。
だが、もし彼女がボードを抱えたまま、彼と共に次の波を求めて「サーフトリップ」を続ける道を選んだのなら….
ふと、日本に残されたあの赤いアルファロメオのことが頭をよぎった。
山下町の古いビルの下で、主を失ったまま佇んでいる1750GTV。
それを思うと、あの車が少しだけ不憫な気がした。
その時は、僕が引き取ってもいい。
そんなことを考えながら、僕は独りでスーツケースの鍵を閉めた。
後日譚(エピローグ)
あれから、山下町のビルに彼女が戻ってくることはなかった。
僕は結局、あの赤い1750GTVを引き取った。
週末、雨の海岸通りで重いクラッチを踏み込み、あの頃の彼女のように少しだけ苦労しながらギアをローに入れるたび、僕はノースショアの乾いた風と、150ドルで買った少年の笑顔を思い出す。
僕のような「買い付け屋」が、なぜ柄にもなくこんな陽気で不便な機械を、今さら乗り回しているのか。
知りたがる連中には、適当な理由を並べて煙に巻いている。
だが、もし彼女がいつか、再びこのビルのチャイムを鳴らす日が来たなら。
その時は、ステアリングを黙って彼女に返してやろうと思っている。

